エクリン汗腺からの汗は体温の調整を行う
多汗症とは、唇と性器以外の人間の体全体に分布しているエクリン汗腺からでる汗が、必要以上に放出される状態をいいます。
多汗症の原因になるエクリン汗腺からでる汗は、そもそも何の働きをする汗なのかというと、体温調節を行うための汗です。体温調節のためにでる汗を「温熱性発汗」といいます。
体温調整の他、皆さんも経験があると思いますが、辛いものを食べた時や精神的に緊張した状態などでも、エクリン汗腺から汗が放出されます。緊張時などにでる汗は「精神性発汗」と呼ばれます。
人間の体から放出される汗には、エクリン汗腺からの汗とアポクリン汗腺からの汗の二種類があり、エクリン汗腺からでる汗は、ワキガの臭いの原因になるアポクリン汗腺からでる汗とは違った種類の汗です。
エクリン汗腺からでる汗は、能動汗腺の数や活動状態で決定されます。能動汗腺は幼稚園入学まで位の生活環境によって決まります。しかし、能動汗腺の数が多くても普段汗をかく機会が少ない現代人の場合には、能動汗腺の機能が低下してしまっているといわれています。
現代人は汗腺
いわゆる汗っかき=多汗症と思いがちですが、汗っかきの人が多汗症というわけではなく、体温調整のために汗がでること自体は良いことであり、自然で正常な状態です。べたついた悪い汗ではなく、さらさらとした汗をかくのは大いに良いことです。
体温調節のためにでる汗なのですから、さらさらとしている汗である必要があります。というのは、さらさらとした汗は蒸発しやすく、気化熱として体温を奪う効率がよく体温調節という目的に適っています。一方のべた付いた汗は蒸発しにくく、雑菌が繁殖しやすい環境を作り臭いの原因になりやすくなります。
現代人は能動汗腺の機能が低下しています。能動汗腺の機能が低下している要因には、汗をかきにくい快適な環境がどこにでも整っていることや、汗をかく運動も昔と比較するとはるかに少なくなっているためだとされます。
例えば少しの距離でも歩かずに乗り物を利用するなど、日常的にも汗をかかなくてよい環境ばかりです。また、湯船に浸からずにシャワーで済ますことが多くなったことも要因のひとつです。
汗腺の機能が低下していると、べた付いた汗になり臭いの原因になります。人間が求めるのはもちろん快適な環境なのですが、あまりに快適過ぎる環境は、人間本来の機能の低下につながってしまっています。
スポーツは臭いの問題に限らず健康全般によい影響を及ぼしますし、日常生活でも少しの距離なら歩くように気をつける、お風呂は必ず湯船に入るなど生活習慣をを少しだけ変えることも現代人には必要だといえます。